英検2級の英作文は、難しい単語をたくさん使えば点が上がる試験ではありません。見られているのは、問いにきちんと答えているか、自分の立場がはっきりしているか、理由を分かりやすく説明できているか、そして英文が正しいか。この4つです。
この記事では、出題形式の確認から、4段落の基本構成、Introduction・Body・Conclusionそれぞれの書き方、理由が思いつかないときの考え方、よくある失敗、そして勉強法までを順に説明します。問題を見てから答案を書き終えるまでの流れが、一通りつかめるはずです。
英検2級ライティングの出題形式
2024年度のリニューアル以降、2級のライティングは英文要約と意見論述の2問構成になりました。一次試験は筆記85分とリスニング約25分で、この筆記85分の中にリーディングとライティングの両方が入ります。
Point
2問の基本仕様
- 意見論述:TOPICに対する自分の意見と、その理由を2つ書く。語数の目安は80〜100語
- 意見論述にはPOINTSが3つ示される。参考として使ってもよく、別の観点で書いてもよい
- 要約:約150語の英文を読み、45〜55語でまとめる
- 採点は内容・構成・語彙・文法の4観点。各観点0〜4点で、1問16点
この記事では意見論述の書き方を中心に説明します。要約は「自分の意見を書く」のではなく「原文の要点を選んで短くする」問題で、作業の中身がまったく違います。混ざると両方が中途半端になるので、まず意見論述の型を固めてから取り組むほうが進めやすくなります。
Note
出題形式・語数・採点の詳細は変更される可能性があります。受験前には必ず公益財団法人 日本英語検定協会の公式サイトで最新の情報をご確認ください。
英検2級ライティングで求められる力
「英語力が必要」で片づけると対策になりません。2級の英作文で実際に見られているものは、次の6つに分けられます。
- 問いを正しく読む(賛成か反対かを聞かれているのか、どちらがよいかを聞かれているのかを取り違えない)
- 自分の意見をひとつに決める
- 理由を2つ用意する
- それぞれの理由を、読み手が納得できる程度まで説明する
- 自分が確実に使える語彙と文法で書く
- 最初から最後まで、言っていることが食い違わない
このうち英語の知識が要るのは、後半の2つだけです。前半の4つは日本語で考えられる部分で、しかも点差がつきやすいところ。英作文が苦手な人ほど、まずここを整えると伸びます。
まずは型を覚える(4段落構成)
80〜100語という枠は、英文にして6〜8文ほどです。何も決めずに書き始めると、1つ目の理由を書いたあたりで語数を使い切ります。次の4段落で考えると迷いません。
- Introduction1〜2文
質問に対する自分の意見をはっきり書く。前置きは要らない。
- Body 12〜3文
1つ目の理由。理由 → 説明 → 結果や具体的な場面、の順に書く。
- Body 22〜3文
2つ目の理由。Body 1とは違う角度から選ぶ。
- Conclusion1文
もう一度、自分の意見を(別の言い方で)まとめる。
型は覚えて構いません。構成に迷わない分、中身を考える時間が増えます。ただし型は入れ物なので、中身が空のままでは点になりません。First, Second, と並べたものの、理由が1文ずつしかない答案は、型は守れていても内容の評価が上がらない、というのがよくあるパターンです。
Point
各段落で何を書くのか
- Introduction:質問への答え(=自分の意見)を1文で
- Body:理由 → なぜそう思うのか → どうなるのか、どんな場面か
- Conclusion:意見の再確認。新しい話は足さない
Introductionの書き方
Introductionでやることは1つだけ。質問に対する自分の答えを書くことです。ここでは例として、Do you think students should study abroad? という質問で考えてみます。
避けたい書き出し
There are many opinions about studying abroad. Some people think it is good, and other people think it is not good. It is a difficult question.
3文・30語近くを使って、自分の意見を一度も書いていません。80〜100語のうち3割をここで消費すると、理由の説明を削らざるを得なくなります。問題文をほぼそのまま書き写した書き出しも、同じ理由で避けます。
こう書く
I think students should study abroad. It gives them two important things: language skills and confidence.
1文目で答えが確定しています。2文目は必須ではありませんが、これから話す2つの方向を先に示しておくと読み手が追いやすくなります。
迷ったら、1文目は I think で始めて構いません。凝った書き出しを覚えるより、確実に意見が伝わる形を1つ持っておくほうが本番では役に立ちます。
Body Paragraphの作り方
2級でいちばん多いつまずきが「理由は1つ思いついたけれど、そのあと何を書けばいいか分からない」です。理由を1文で書いて止まってしまうのが原因なので、理由は3手の流れとして考えてみてください。
理由 → なぜそう思うのか → どんな場面か
- 理由
First, students can improve their English quickly.
- なぜそう思うのか
When they live in another country, they have to use English every day.
- どんな場面か
For example, they need it to buy food, ask for directions, and make friends.
難しい単語はひとつも使っていません。それでも、なぜ英語が伸びるのかが読み手に伝わります。2級のBodyに必要なのは、この「もう1文、もう2文」です。
抜けやすいのは2手目です。「英語が上達する」で終わると、理由を言っただけで説明がありません。なぜ上達するのか、その結果どうなるのか。1文足すだけで、内容の評価は変わります。語数が足りないと悩んでいる人の原因も、ほとんどがここです。
2つ目のBodyは、1つ目と違う角度から選びます。「英語が上達する」と「英語が話せるようになる」では、読み手には同じことを2回言っているように見えます。角度の選び方は、次の見出しで説明します。
理由が思いつかないときの考え方
理由はひらめくものではなく、身近な角度から探すものです。社会問題の知識がなくても大丈夫です。テーマを見たら、次のような視点を順に当ててみてください。
- お金(安くなる/高くつく/節約できる)
- 時間(早く終わる/時間がかかる)
- 健康(体にいい/悪い)
- 勉強や仕事(力がつく/集中できる)
- 安全(危ない/安心できる)
- 便利さ(楽になる/面倒になる)
- 人との関わり(友達ができる/話す機会が増える)
- 将来(あとで役に立つ/選択肢が広がる)
全部を試す必要はありません。3つほど当ててみて、2文以上書けそうなものを2つ選びます。ここで大事なのは、いちばん立派に見える理由を選ぶことではなく、自分が英語で説明できる理由を選ぶことです。
それでも出てこないときは、反対の立場から考えてみてください。「留学に反対する人は何を心配するだろう」と考えると、お金がかかる、ホームシックになる、といった観点が浮かびます。その裏返しが、そのまま自分の理由になります。
具体例はどこまで必要か
For example を必ず入れなければならない、と思い込んでいる人がいますが、そんなことはありません。求められているのは理由が読み手に伝わることであって、例を挙げること自体ではありません。しかも、ここで言う具体例は大げさなものでなくて構いません。統計や有名な出来事を持ち出す必要はなく、ありそうな場面をひとつ書けば十分です。
- 説明だけ
Studying abroad is expensive.
- 場面を足す
Studying abroad is expensive. Students have to pay for flights, a place to live, and school fees.
2つ目は For example を使っていませんが、何にお金がかかるのかが具体的になっています。「例を挙げる」より「もう少し細かく言う」と考えたほうが、手が動きやすくなります。
Conclusionの書き方
Conclusionの役目は、自分の意見をもう一度示すことです。長く書く必要はなく、1文で十分です。気をつけたいのは、Introductionをそのままコピーしないこと。同じ文をもう一度書くだけでは、語彙の幅を示しにくくなります。
- Introduction
I think students should study abroad.
- Conclusion
For these reasons, I believe that studying abroad is a good choice for students.
意見は同じですが、think を believe に、should study abroad を studying abroad is a good choice に変えています。ここで新しい理由を出す必要はありません。
語数が尽きてConclusionを書かずに終わる答案もよく見ますが、突然終わる文章は構成の評価を落とします。最後の1文ぶんは必ず残す、と決めてBody 2を書いてください。
難しい単語より、正確な英語を優先する
「難しい単語を使ったほうが点が上がるのでは」と考える人は多いのですが、語彙の観点で見られているのは難しさではなく、その場面に合っているかどうかです。無理に難しい語を使うと、たいてい次の3つが起きます。
意味がずれる
辞書で見つけた語が文脈に合わず、言いたかったことと違う意味になってしまいます。
文法ミスが増える
使い慣れない語は前置詞や語形を間違えやすく、語彙と文法の両方の評価に影響する可能性があります。
何が言いたいのか伝わらない
難しい語が並ぶと、読み手が意味を推測しながら読むことになります。伝わらない文は評価されません。
逆に、自分が確実に使える語だけで書いても、内容がはっきりしていれば十分に評価されます。この記事に出てきた例文も、中学から高校前半で習う語しか使っていません。まずは正しく伝わる英語を優先してください。
接続表現の使い方
接続表現は、話の流れを読み手に示すための道具です。2級の答案なら、次のくらいを使い分けられれば足ります。
- 理由を並べる:First, / Second,
- 例や説明を足す:For example, / Also,
- 結果を示す:So, / Therefore,
- まとめる:For these reasons,
覚える数を増やすより、置く場所を間違えないことのほうが大事です。よくあるのが、追加の関係でもないのに Also, を挟んだり、1文おきに Therefore, が出てきたりするパターン。読み手はそのたびに「何が結果なのだろう」と考えることになり、かえって読みにくくなります。80〜100語の答案なら、接続表現は4〜5個で十分です。
本番の進め方と時間配分
本番でいきなり英語を書き始めると、たいてい途中で手が止まります。次の5つの工程に分けて進めてください。
- 1
問題文を読んで、聞かれていることを確認する
賛成か反対かを聞かれているのか、どちらがよいかを聞かれているのか。ここを取り違えると、どれだけ上手に書いても内容の点が入りません。POINTSが3つ示されるので、目を通しておきます(使うかどうかは自由です)。
- 2
自分の意見をどちらかに決める
「本当にそう思うか」で悩まなくて大丈夫です。英語で説明しやすいほうを選んで構いません。試験で問われているのは意見の正しさではなく、書き方です。
- 3
理由を2つ、日本語でメモする
英語で考えず、まず日本語で。ここで、2つが同じ内容になっていないかも確認します。
- 4
書く
決めた構成に沿って書きます。途中で新しい理由を思いついても、原則そのまま進めてください。書き直しがいちばん時間を食います。
- 5
読み返す
三単現のs、複数形、時制、スペル。落とすのはたいてい、知らない文法ではなく知っている文法です。
筆記85分の中で、リーディング・要約・意見論述にどう時間を割くかは人によって違うので、「必ず何分」という正解はありません。練習のときに毎回時計を見て、自分がどの工程に時間を使っているかを記録してみてください。多くの場合、書くのが遅いのではなく、STEP 2とSTEP 3で迷っている時間が長いだけです。
よくある失敗と、その直し方
問いに答えていない/立場が曖昧
「留学すべきか」と聞かれているのに、留学のいい点と悪い点を並べて終わる答案です。公平に見えて、内容の評価は下がります。直し方は簡単で、1文目に I think を置くこと。書き出しが決まれば、あとは自然にその意見を支える方向へ進みます。
理由が一文だけで終わっている
First, it is useful. と書いてすぐ次の理由に進んでしまうパターンです。これでは理由を言っただけで、説明がありません。なぜそう思うのか、その結果どうなるのかを、あと1〜2文足してください。
2つの理由がほとんど同じ
「英語が上達する」と「英語が話せるようになる」のように、言い換えただけの理由が並ぶパターン。書く前に日本語でメモして、「これは違う角度か」と一度確認してください。短時間の確認でも重複を防ぎやすくなります。
問題文をそのまま繰り返している
Introductionで質問文をほぼそのまま書き写す答案です。語数は稼げますが、自分で書いた部分が減るので内容の評価にはつながりません。質問の語をいくつか借りるのは構いませんが、必ず自分の意見とセットにしてください。
同じ単語や表現が何度も出てくる
good、important、very が何度も出てくる答案は、語彙の評価が伸びにくくなります。難しい語に変える必要はなく、useful、helpful、a good way のように、知っている範囲で少し違う言い方を用意しておけば十分です。
Conclusionがない、または突然終わる
語数が尽きて終わってしまうパターンです。最後の1文は必ずConclusionに使うと決めておき、Body 2を書いている途中で残りの語数を意識してください。
語数合わせのために、意味の薄い文を足す
It is very important for us. のような、どのテーマでも成り立つ文を最後に付け足すケース。語数は増えても内容の点は増えません。同じ1文を足すなら、理由の説明をもう1文伸ばすほうが確実です。
書き終えたあと、読み返していない
2級で失点しやすいのは、難しい文法ではなく基本的なミスです。書いた直後は自分の英文が正しく見えるので、少し時間を置いてから読み返すと気づきやすくなります。
効果的な勉強法(6ステップ)
英作文は、模範解答を読むだけでは伸びません。自分で書く、直す、もう一度使う。この流れを回す必要があります。次の6ステップを1セットにしてください。
- 1
テーマを見て、賛成・反対をすぐ決める(30秒)
迷う癖をなくすための練習です。正しいと思うほうではなく、英語で説明しやすいほうを選びます。
- 2
理由を2つ考える(2分)
日本語で構いません。身近な視点から探し、2つが同じ角度になっていないかを確認します。
- 3
構成だけメモする
4段落それぞれに何を書くかを、単語レベルで書き出します。ここまでを繰り返す練習だけでも効果があります。
- 4
時間を測って書く
本番と同じ条件で、辞書は使わずに。知らない語に出会ったら、知っている語で言い換える。この練習がそのまま本番の語彙対策になります。
- 5
採点・添削して、弱点を観点別に確認する
「なんとなく良くない」で終わらせず、内容・構成・語彙・文法のどれで落ちたのかを特定します。ここを飛ばすと、次も同じところで失点します。
- 6
指摘を反映して、同じテーマで書き直す
ここまでやって1本が完了します。1回目と2回目の差が、そのまま伸びしろです。
新しいテーマを数多く書きっぱなしにするより、少ない本数でもSTEP 6の書き直しまで行うほうが、弱点を改善しやすくなります。STEP 1〜3だけなら短時間でも取り組めるので、通学や休み時間に繰り返しておくと、本番で構成を決めやすくなります。
まとめ
英検2級の英作文でやることは、そう多くありません。1文目で自分の意見を決める。違う角度から理由を2つ選ぶ。それぞれに「なぜそう思うのか」をあと1〜2文足す。最後にもう一度、意見を書く。これだけで、形としては十分な答案になります。
あとは、書いたものを採点して直す作業を繰り返すだけです。次の1本は新しいテーマでなくて構いません。前に書いた答案を、指摘を踏まえて書き直すところから始めてみてください。
Note
本記事は学習方法をまとめたものであり、合格を保証するものではありません。出題形式・採点基準の最新情報は日本英語検定協会の公式サイトをご確認ください。「英検」は公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。
参考資料
よくある質問
- 英検2級の英作文は何語書けばいいですか?
- 意見論述は80〜100語が目安です。英文要約は45〜55語で書きます。意見論述で語数が足りない場合は、理由が1文で終わっていないかを確認してください。意味の薄い文を足すのではなく、それぞれの理由に「なぜそう思うのか」を1〜2文足すと内容を広げやすくなります。
- 理由は2つ必要ですか?3つ書いてもいいですか?
- 2つ書くよう求められます。80〜100語という枠で3つ挙げると、1つあたりの説明が1文ずつになり、かえって内容の評価が下がりやすくなります。2つを説明し切るほうが有利です。
- POINTSは必ず使わないといけませんか?
- 2級のPOINTSは参考として3つ示されるもので、使わずに別の観点で書いても構いません。ただし理由が浮かばないときのヒントになるので、書き始める前に目を通しておくと安心です。
- 難しい単語を使ったほうが有利ですか?
- 語彙は難しさではなく、その場面に合っているかで見られます。使い慣れない語は意味のずれや文法ミスの原因になるので、確実に使える語で正確に書くほうが安全です。
- 具体例(For example)は必ず入れないといけませんか?
- 必須ではありません。理由が読み手に伝わることが目的なので、短い状況説明でも十分に具体化できます。「例を挙げる」より「もう少し細かく言う」と考えると書きやすくなります。