英検準1級のリーディングでつまずく人は、単語をまったく知らないとは限りません。「単語帳は一通りやったのに、長文になると読めない」という悩みもよくあります。そこには、語彙以外の原因が関わっている可能性があります。
この記事では、語彙の覚え方から長い一文の読み方、内容一致問題の考え方、時間配分、復習のやり方、そして日々の学習サイクルまでを順に扱います。読み終えたときに、自分がどこで止まっているのかと、次に何をすればいいのかが決まっている状態を目指します。
英検準1級リーディングの構成と時間
まず全体像です。準1級の一次試験は、リーディングとライティングを合わせて90分、そのあとリスニングが約30分。リーディングは次の3形式、合計31問です。
- 短文の語句空所補充18問
短文・会話文の空所に、文脈に合う語句を4つの選択肢から選ぶ。いわゆる語彙問題。
- 長文の語句空所補充6問
説明文・評論文などのパッセージの空所に、文脈に合う語句を補う。文と文のつながりを見る問題。
- 長文の内容一致選択7問
パッセージの内容に関する質問に答える。語彙だけでなく、構文や論理を追う力も必要になる形式。
注意したいのは、90分という枠にライティングの2問(英文要約と英作文)も入ることです。リーディングを解き切ることだけを考えていると、ライティングの時間が残りません。準1級では、リーディングの速度がそのままライティングの余裕につながる、という構造になっています。
Note
出題形式・問題数・試験時間は変更される可能性があります。受験前には必ず公益財団法人 日本英語検定協会の公式サイトで最新の情報をご確認ください。
準1級Readingで必要な4つの力
「英語力を上げる」では、明日から何をすればいいのかが決まりません。準1級のリーディングで問われている力は、4つに分けられます。
① 語彙力
本文だけでなく、設問と選択肢を理解するための土台。31問中18問が語彙問題である以上、避けて通れません。
② 構文把握力
長い英文でも、主語・動詞・修飾関係を崩さずに取る力。「単語は分かるのに読めない」と感じる原因の一つです。
③ 論理把握力
筆者の主張、理由、具体例、対比を追う力。内容一致問題の正答率に大きく関わります。
④ 情報処理力
限られた時間で必要な情報を見つけて解く力。速く読むことだけを指すのではありません。
「速く読めるようになりたい」という相談は多いのですが、④だけを練習しても点は動きません。②や③が不安定なまま速度を上げると、読み違えが増えるだけだからです。まずは自分がどこで止まっているかを見極めてください。
語彙は土台になるが、単語帳だけでは足りない
18問という数を見れば、語彙対策が欠かせないのは明らかです。ただ、単語帳を1周した状態と、試験で使える状態は違います。準1級の語彙問題は「その語を知っているか」ではなく「その文脈に合う語を選べるか」を見ているからです。
- 意味を覚える
単語帳などで、語形と代表的な意味を結びつける。ここは暗記の作業。
- 例文や文脈で確認する
その語がどんな文の中で、どんな語と一緒に使われるかを見る。語彙問題で問われるのはこの段階。
- 長文の中で出会う
実際の文章で使われているのを見て、意味が自然に出てくるようにする。読解速度に効いてくるのはここ。
- もう一度確認する
出会った語を単語帳や記録に戻して確認する。1回目に覚えた意味と、文脈での使われ方をつなぎ直します。
単語帳だけを回していると、1段目と2段目のあいだで止まります。おすすめは、長文演習で出会った知らない語を、その一文ごと記録しておくこと。単語カードに意味だけを書くより、文脈が残っているぶん思い出しやすくなります。
「単語は分かるのに文章が読めない」理由
準1級でいちばん多い悩みです。原因は語彙ではなく、たいてい次のどれかにあります。
- 一語ずつ意味を拾っていて、文全体としての意味を作れていない
- 主語と動詞を見失っている(修飾が長いと、どれが述語か決められない)
- 修飾関係を取り違えている(どの語がどこにかかるかを誤る)
- 接続詞や対比の表現を見落とし、話の向きが変わったことに気づかない
- 一文は分かったが、その文が前後とどうつながるかを考えていない
主な原因を見分ける一つの目安は、読めなかった箇所を辞書なしでもう一度ゆっくり読むことです。読み直して文の構造や流れがつかめるなら読み方を見直す余地があり、知らない語が原因で意味を取れないなら語彙を補う必要があります。実際には複数の原因が重なることもありますが、復習のたびに主な原因を整理すると、次に何を優先するかを決めやすくなります。
一文ずつ完璧な日本語に訳そうとしない
本番でやるのは、自然な日本語訳を作る作業ではありません。訳を組み立てている時間はありませんし、きれいに訳せたからといって設問に答えられるとも限らないからです。読みながら追うのは、次のようなことです。
- 誰が、何について書いているのか
- 筆者は何を言おうとしているのか
- その理由として何が挙げられているか
- この具体例は、何を説明するために出てきたのか
- 前と後ろで、意見や状況がどう変わったか
ただし、精読が不要という意味ではありません。本番で速く読めるのは、普段の学習で一文ずつ構造を確認してきた人です。訳す作業は本番用ではなく、読解の精度を上げる練習として、復習の段階でやるものだと考えてください。
長い一文では、まず「骨格」を探す
準1級の長文には、2〜3行にわたる一文が出てきます。頭から順に意味を積み上げようとすると、途中で分からなくなる。先に骨格(主語と動詞)を見つけてから、残りを足していくほうが確実です。
- 元の文
The number of students who choose to study science at university has fallen sharply over the past decade.
- 骨格だけ
The number has fallen.
who choose to study science at university は students の説明、sharply は程度、over the past decade は期間です。いったん外すと「数が減った」という骨格が見えます。慣れれば頭の中で一瞬ですが、最初は復習のときに実際に線を引いて確認すると効果があります。
探すものは3つだけです。動詞はどれか、その主語はどれか、関係詞や分詞はどこから始まってどこで終わるか。前置詞句や挿入は、いったん括弧に入れて後回しにして構いません。
接続表現と段落の冒頭で、先を予測する
however や for example のような表現は、覚える対象というより「次に何が来るかの予告」です。ここに反応できるようになると、読む速度が上がります。
- 1文目
Solar panels are now much cheaper than they were ten years ago.
- 2文目
However, installing them still requires a large amount of space.
However を見た時点で、「安くなった」という良い話とは逆向きの内容が来ると分かります。読む前に予測ができていれば、2文目は確認するだけで済みます。
同じように、therefore や as a result なら前の内容の結果、in contrast なら対比、for example なら直前の主張を支える例が来ます。段落の1文目にも同じ働きがあり、その段落が何の話なのかを先に教えてくれることが多くあります。長文を読むときは、段落の冒頭だけ少し丁寧に読む、という配分にしてみてください。
段落ごとに「一言で何を言っていたか」を確認する
長文全体を覚えようとすると、読み終えたときに何も残りません。段落を1つ読み終えるたびに、その段落を一言でまとめてみてください。日本語で構いませんし、頭の中だけでも構いません。
- 問題提起(何が話題になっているか)
- 原因(なぜそうなったのか)
- メリット/デメリット
- 具体例(どの主張を支えているか)
- 反論・対比(別の見方)
- 結論(結局どうなのか)
この一言があると、設問を見たときに「これは2段落目の話だ」と当たりをつけられます。本文を頭から探し直す時間を減らせるうえ、覚えておくべき情報量も少なくなるので、内容を整理しながら読みやすくなります。
内容一致は「単語の一致」ではなく「意味の一致」で判断する
準1級の内容一致問題では、本文の表現が選択肢で別の言い方に置き換えられることがあります。そのため、本文と選択肢に同じ単語があるかだけでなく、意味が一致しているかを確認する必要があります。
- 本文
Many workers said they felt less tired after the company shortened its working hours.
- 正解になりうる選択肢
Shorter working hours improved how employees felt.
workers → employees、felt less tired → improved how they felt と、語はほとんど入れ替わっています。それでも意味は一致しています。
本文に出てきた単語を含んでいても、それだけでは正解と判断できません。主語・条件・因果関係なども含めて意味が一致するかを見るため、選択肢はいったん自分の言葉で「要するに何と言っているか」に直してから本文と照らしてください。
内容一致でよくある誤答パターン
一部だけ正しい
前半は本文どおりでも、後半に本文にない内容が足されている。選択肢は最後まで読み切ってください。
主語や対象が違う
「研究者が指摘した」を「政府が指摘した」に差し替えるタイプ。誰が何をしたのかを本文で確認します。
原因と結果が逆
本文ではAの結果Bが起きたのに、選択肢ではBが原因になっている。矢印の向きを確認します。
程度が強すぎる
some を all に、may を will に変えた選択肢。断定の強さも本文と一致している必要があります。
本文にない内容が加えられている
もっともらしい説明でも、本文に書かれていなければ不正解です。
具体例を一般化している
本文はある1つの事例について述べているのに、選択肢が「一般にそうである」と広げている。
常識では正しいが本文にない
自分の知識で補ってしまうパターン。判断の基準は常識ではなく本文です。
迷ったときの基準はひとつです。その選択肢の根拠になる一文を、本文から指せるかどうか。指せないなら選ばない、と決めておくだけで正答率は変わります。「なんとなく近い」で選んだ問題は、たとえ正解でも復習の対象だと考えてください。
知らない単語で、そのつど止まらない
準1級の長文で未知語がゼロになることは、まずありません。問題は、そこで毎回止まってしまうことです。1回ごとの停止は短くても、積み重なると長文やライティングに使える時間を圧迫します。知らない語に出会ったら、次の順で判断してください。
Point
未知語に出会ったときの判断
- その語は文の中心にあるか、それとも具体例や修飾の一部か
- 前後から、プラスの意味かマイナスの意味かだけでも取れるか
- 直後に言い換えや説明(that is、in other words、コロンなど)が置かれていないか
- その語が分からなくても、段落全体の言いたいことは変わらないか
その語が分からなくても段落の要点を追えるなら、印だけつけて先へ進み、復習のときに調べます。逆に文の中心にある語なら、前後に言い換えや説明がないかを探してください。説明が見つからない場合もあるため、意味を断定せず、段落全体の流れを保って先へ進むことが大切です。
時間が足りなくなる原因と、読む速度の配分
「もっと速く読む」で解決することはあまりありません。時間が足りない人には、たいてい具体的な原因があります。
- 語彙問題で迷いすぎる(知らない語は考えても出てこないことが多い)
- 一文ずつ完璧に訳している
- 知らない単語のたびに止まる
- 同じ段落を何度も読み返している
- 難しい設問を飛ばせず、そこで止まってしまう
- ライティングに残す時間を計算していない
そのうえで、本番では全部を同じ速度で読まないこと。主張・対比・設問に関係する部分は丁寧に、細かい具体例や補足は必要になったときに戻ればいい部分です。
Note
これは飛ばし読みを勧めているのではありません。すべての文に目は通したうえで、力の入れ方に濃淡をつける、という話です。具体例をまったく読まずに進むと、内容一致問題で根拠を探せなくなります。
速読と精読は、どちらも必要
速く読む練習だけをしても、読み違えは減りません。逆に、毎回じっくり読むだけでは時間内に解き切れるようになりません。役割を分けて考えてください。
目的
普段の学習(精読)
読み違えの原因を特定し、正確に読む力を作る
本番形式の演習(速読・時間管理)
限られた時間で必要な情報を取り出す力を作る
やること
普段の学習(精読)
一文ずつ骨格を確認し、分からなかった箇所を残さない
本番形式の演習(速読・時間管理)
段落の要点を追いながら進み、細部は設問に応じて戻る
時間
普段の学習(精読)
測らない。かかっても構わない
本番形式の演習(速読・時間管理)
測る。1題あたり何分かかったかを記録する
効率がいいのは、同じ1題を2回使うことです。1回目は時間を測って解き、2回目は時間を気にせず精読する。新しい問題を消費せずに、両方の練習ができます。
背景知識があると読みやすい。ただし根拠は本文
準1級の長文では、環境・教育・科学・社会・テクノロジー・健康・経済など幅広いテーマが扱われます。知っているテーマなら、知らない単語も推測しやすく、話の流れも予測しやすくなります。
ただし、答えを出すのは知識ではありません。「一般的にはそうだけれど、本文にはそう書かれていない」選択肢は不正解です。知識は、本文を読む速度を助けるためのものだと割り切ってください。
知識の増やし方としては、演習で出会ったテーマについて、そのつど少しだけ周辺を調べておくのが効率的です。テーマ別に知識を先取りするより、読んだ文章を起点に広げるほうが記憶に残ります。
答え合わせだけでは、Readingは伸びにくい
解いて、正解を確認して、次の問題へ。これを繰り返しても点はあまり動きません。伸びる人は、間違えた1問について「なぜ間違えたのか」を分類しています。原因が違えば、次にやることも違うからです。
復習で確認したい5項目
① 語彙
知らなかった単語・表現はあったか。意味だけでなく、その語が入っていた一文ごと記録します。
② 構文
読みづらかった英文はどれか。骨格を取り直し、どこで崩れたのかを確認します。
③ 段落の要点
各段落が何を説明していたかを一言で言えるか。言えなければ、論理を追えていません。
④ 正解根拠
なぜその選択肢が正しいのか。根拠になる本文の一文を指せるかを確認します。
⑤ 誤答原因
なぜ自分はその選択肢を選んだのか。誤答パターンのどれに当てはまるかまで見ます。
複数題ぶんを記録すると、傾向が見えやすくなります。①が多いなら語彙、②が多いなら構文、④⑤が多いなら解き方。ここまで絞れて初めて、次に何をやるかが決まります。「長文が苦手」のままでは、対策の立てようがありません。
よくある失敗と、その直し方
単語帳だけをやる
覚えた語は、例文と長文の中で出会い直して初めて使える状態になります。単語帳の周回と長文演習は、並行して進めてください。
一文ずつ日本語に訳す
訳せたことと設問に答えられることは別です。本番では主張・理由・対比を追い、訳す作業は復習に回してください。
知らない単語で止まり続ける
止まった回数だけ時間が消えます。文の中心にある語でなければ、印だけつけて先へ進んでください。
同じ箇所を何度も読み返す
読み返しが多いのは、たいてい骨格を取らずに読んでいるからです。主語と動詞を確定させてから進む癖をつけると、戻る回数が減ります。
内容一致を単語の一致で解く
本文の表現が選択肢で言い換えられることもあり、同じ語が含まれているだけでは正解と判断できません。自分の言葉に直してから照合してください。
正解の根拠を確認しない
「なんとなく」で当たった問題は、次に同じ形で出たときに落とします。正解した問題も含めて、根拠の一文を指せるか確認してください。
時間を測らずに練習する
測らなければ時間感覚は身につきません。準1級はライティング2問と合わせて90分なので、1題あたり何分かかっているかの記録が対策の出発点になります。
問題数だけを大量にこなす
解いた数が増えても、原因を特定していなければ同じところで落とし続けます。新しい問題を増やすだけでなく、解いた問題を原因の特定と精読まで通すことが大切です。
自分の弱点を分析しない
分けて記録していないと、次にやることが決まりません。上の5項目で分類する習慣をつけてください。
効果的な学習サイクル
ここまでの内容を、1題の中で実行する手順にまとめます。解いた数ではなく、この7ステップを通した数が実力になります。
- 1
時間を測って解く
本番と同じ条件で。辞書は使わず、分からない語は推測して進みます。1題にかかった時間も記録します。
- 2
正答率と時間を確認する
何問中何問取れたか、何分かかったか。数字を残さないと、伸びているかどうかが分かりません。
- 3
間違えた原因を分析する
語彙・構文・内容理解・選択肢判断・時間不足のどれか。ここが復習の中心です。
- 4
本文を精読する
今度は時間を気にせず、一文ずつ骨格を確認します。読み違えていた箇所を特定します。
- 5
知らない語彙・構文を確認する
単語だけでなく、その語が入っていた一文ごと記録します。あとで見返したときに文脈が思い出せます。
- 6
設問の正解根拠を確認する
正解の根拠になる一文と、誤答が誤答である理由を言葉にします。
- 7
数日後、同じ英文をもう一度読む
前より楽に読めるかを確認します。音声があれば聞きながら読むと、処理速度の練習にもなります。
週に何題という数より、STEP 7まで到達した題数を数えてください。STEP 2で止まっているうちは、題数を増やしても同じ原因で落とし続けます。
まとめ
準1級のリーディングには、語彙・構文・論理・処理速度が関わります。「単語は分かるのに読めない」と感じているなら、構文や論理も含めて、どこで止まっているかを切り分けてください。
そのうえで、1題を答え合わせで終わらせないこと。この1周を丁寧にやるほど、次の1題が楽に読めるようになります。
Note
本記事は学習方法をまとめたものであり、合格を保証するものではありません。出題形式・問題数・試験時間の最新情報は日本英語検定協会の公式サイトをご確認ください。「英検」は公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。
参考資料
よくある質問
- 英検準1級のリーディングは何問ありますか?
- 短文の語句空所補充が18問、長文の語句空所補充が6問、長文の内容一致選択が7問で、合計31問です。一次試験はリーディングとライティングを合わせて90分、リスニングが約30分です。
- 単語帳をやっているのに長文が読めません。
- 語彙だけでなく、構文や論理が関係している可能性があります。読めなかった箇所を辞書なしでゆっくり読み直し、文の構造や流れがつかめるか確認してください。知らない語が原因なら語彙を補い、語は分かるのに文が崩れるなら、主語と動詞を確定させる練習を優先します。
- 知らない単語が出てきたら、どうすればいいですか?
- その語が文の中心にあるかどうかで判断します。具体例や修飾の一部なら、印だけつけて先へ進んで構いません。中心にある語なら、前後に言い換えや説明がないかを探してください。見つからない場合は意味を断定せず、復習のときに確認します。
- 速く読む練習をすれば時間内に終わりますか?
- 速度だけを上げると読み違えが増える可能性があります。時間が足りない場合は、語彙問題で迷う、一文ずつ訳す、同じ段落を読み返す、といった具体的な行動も確認してください。まず1題あたりの時間を記録して、どこで時間を使っているかを特定します。
- リーディングとライティングの時間配分はどう決めればいいですか?
- 90分をどう割るかに唯一の正解はなく、読解の速度によって適切な配分は変わります。ただ、決めずに本番へ行くとリーディングに使いすぎて要約や英作文の時間が残らないことが多いので、練習のときから配分を決めて時計を見て解いてください。