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1級スピーキング

英検1級二次試験|1分間の準備時間でやるべきこと

英検1級二次試験のスピーチ前、1分間の準備時間で何を考えればよいのかを解説します。トピックの選び方、立場の決め方、理由を2つ作る視点、広げる方向の決め方まで。1分間で英文を作らずに2分間スピーチへつなげる手順です。

英検1級の二次試験で、いちばん焦りやすいのがスピーチ前の1分間です。5つのトピックから1つ選び、話す内容を決めるまでが60秒。しかもメモは取れません。

先に結論を書きます。この1分間で、完全な英文を作る必要はありません。むしろ作ろうとするほど失敗します。1分間は「英語の原稿を書く時間」ではなく、「2分間スピーチの骨格を決める時間」です。

1分間の目的を勘違いしない

まず、準備時間の使い方を切り替えてみてください。話す内容の骨格に集中すると、2分間のスピーチを組み立てやすくなります。

1分間で作るもの

やりがちな使い方

2分間ぶんの英文を頭の中に作る

本記事で勧める使い方

話す順番と中身の骨格だけを決める

記憶するもの

やりがちな使い方

文そのもの(覚えきれない)

本記事で勧める使い方

キーワード数個(忘れにくい)

途中で詰まったとき

やりがちな使い方

1語思い出せないと全部止まる

本記事で勧める使い方

別の言い方に変えて進める

1分間で作った英文をそのまま覚えようとすると、全文を保持しにくく、途中で表現に詰まったときにも立て直しにくくなります。そこで、言い換えながら話を進められる形で骨格を持っておく、というのがこの記事の考え方です。

1分間でやることは、4つだけ

順番も固定してください。毎回この順で考えると、本番で迷う時間が消えます。

  1. STEP 1|トピックを選ぶ

    5つを比べ込まず、話せそうなものを早めに決める。

  2. STEP 2|立場を決める

    賛成か反対か。説明しやすい側で構わない。

  3. STEP 3|理由を2つ決める

    違う角度から2つ。キーワードで押さえる。

  4. STEP 4|広げる方向を決める

    各理由を何の話に展開するかだけ決める。英文は作らない。

STEP 1|「一番詳しいテーマ」を選ぶ必要はない

知識があるトピックを選びたくなりますが、知識の量と話しやすさは別です。詳しくても、立場と理由がすぐ決まらなければ2分は持ちません。

判断は3つだけです。賛成・反対がすぐ決まるか。理由が2つ浮かぶか。その理由を具体化できそうか。この3つに「はい」と言えるトピックが1つ見つかった時点で、決めてしまってください。

Note

5つすべてを深く比較しないこと。トピック選びに時間を使いすぎると、肝心の中身を考える時間がなくなります。選べなかったトピックが実は良かった、という後悔は本番では意味がありません。

STEP 2|立場は「説明しやすい側」で決めてよい

二次試験は、あなたの人生観を問う場ではありません。選んだ立場を英語で筋道立てて説明できるかを見ています。本音では迷うテーマでも、理由を作りやすい側を選んで構いません。

むしろ避けたいのは、立場を決めきらずに話し始めることです。「賛成だが一方で」という構えで入ると、Reason 1とReason 2が互いを打ち消して、何を言いたいのか伝わらなくなります。Agree か Disagree か、準備の時点で言い切ってください。

STEP 3|理由2つは、違う角度から取る

理由が思いつかない原因は、知識不足だけとは限りません。視点を切り替えることで理由が見つかる場合もあります。次の問いを順に当ててみてください。

  • 個人はどうなるか(時間、お金、健康、自由)
  • 経済はどうか(費用、雇用、企業の競争力)
  • 社会全体はどうか(格差、安全、信頼)
  • 政府・制度はどうか(財源、法律、責任)
  • 環境や将来世代にはどう影響するか

いくつか当てはめて、それぞれを説明・具体化できそうな視点が2つ見つかれば、そのまま Reason 1 と Reason 2 にできます。全部を試す必要はありません。

Note

本記事では、2分間に収めやすい基本形として理由を2つ用意する方法を勧めています。理由の数そのものが公式に指定されているわけではないので、話し慣れてきたら自分が展開しやすい数に調整してください。

Point

同じ理由を2回言わない

  • It saves money. と It reduces costs. は、角度が同じなので実質1つ
  • 経済 + 環境、個人 + 社会、短期 + 長期 のように離して取る
  • 準備の段階で「これは同じ土俵か」と短く確認する

STEP 4|広げる方向だけ決める

理由を思いついただけでは、2分は持ちません。It will benefit the economy. で止まれば、そこで話は終わってしまいます。

そこで、各理由について WHY → HOW → RESULT の方向だけを決めます。ただし、ここで英文を作らないでください。「企業のコスト削減」「通勤の減少」「高齢者への影響」といった、展開先の言葉を1〜2個決めるだけで十分です。英語は話しながら作ります。

1分間の頭の中を、そのまま見せる

例として、Should governments do more to promote remote work? というトピックで考えてみます。1分間で頭に作るのは、次の程度です。

1分間で作る「頭の中のメモ」
  • Position

    YES — governments should do more

  • Reason 1|環境

    commuting → traffic → emissions

  • Reason 2|働く人

    commuting time saved → family / rest → productivity

英文はひとつも作っていません。覚える情報を少数のキーワードに絞ることで、全文を保持するより負担を抑えやすくなります。そして矢印の向きが、そのまま WHY → HOW → RESULT の展開になります。

本番では、Positionを示してからReason 1の矢印をたどり、説明や具体化を加えます。Reason 2も同じように展開し、最後に立場を言い直して終わります。必要な文数や配分は話速によって変わるため、録音を聞きながら2分に合う長さへ調整してください。

英文ではなく、キーワードで持つ

キーワードで持つことには、記憶が楽になるという以上の利点があります。

  • 忘れにくい

    全文を覚えるより、少数のキーワードに絞るほうが記憶の負担を抑えやすくなります。メモが取れない試験では、この違いが役立ちます。

  • 言い換えられる

    emissions が出てこなければ air pollution でも通じます。文で覚えていると、この切り替えができません。

  • Q&Aでも使える

    骨格が残っているので、別の角度から質問されても「どの理由の話か」を見失いません。

Note

念のため補足すると、面接中は実際に紙へメモを書くことはできません。ここで言う「メモ」は、頭の中に残しておく骨格のことです。だからこそ、覚えきれる量に絞る必要があります。

そこから2分間スピーチへ

骨格ができたら、あとは Position → Reason 1 とその説明 → Reason 2 とその説明 → Conclusion の順に並べて話すだけです。準備の段階で順番が決まっているので、話す側は中身に集中できます。

スピーチの構成や、そのあとのQ&Aへの対応については、二次試験全体を扱った記事で詳しく説明しています。面接の流れから確認したい方は、そちらを先に読んでください。

準備できたのに、話し始めると忘れる

1分間ではちゃんと考えられたのに、口を開くと飛んでしまう。よくある現象ですが、原因はだいたい次のどれかです。

  • 英文で記憶している

    全文は保持しにくいため、キーワードと矢印に置き換えてください。

  • 理由同士の関係が曖昧

    2つが似ていると、どちらを話したか分からなくなりやすくなります。角度を離して取ると混同を減らせます。

  • 話す順番が毎回違う

    Position → R1 → R2 → 結論、という並びを固定してください。順番が決まっていれば、次に何を言うかで迷いません。

1分間準備でやってはいけない6つ

  • 完全な英文原稿を作る

    1分では作りきれず、作れても話し始めると崩れます。1語忘れた時点で止まります。

  • 5つすべてを深く比較する

    比較に30秒使うと、中身を考える時間が半分になります。3つの基準で早く決めてください。

  • 難しい単語を探す

    本番で出てこなければ意味がありません。使い慣れた語で話せる内容を選ぶほうが安全です。

  • 具体例を細部まで作り込む

    数字や固有名詞を思い出そうとして時間を失います。展開先の言葉を1つ決めれば足ります。

  • 理由を3つ4つと増やす

    理由を増やしすぎると、2分間では1つずつを十分に説明しにくくなります。本記事では、収めやすい基本形として2つを勧めます。

  • 立場を最後まで迷う

    決まらないまま話し始めると、Reason同士が噛み合いません。先に言い切ってください。

1分間準備そのものを練習する

スピーチだけを練習し、準備時間を測ったことがないと、60秒で骨格を作る段階につまずきやすくなります。準備そのものも、独立した練習として取り入れてください。

やり方は簡単です。トピックを1つ用意して、タイマーを1分に設定する。鳴ったら、立場と理由2つが決まっているかを確認する。決まっていなければ、何に時間を使っていたかを振り返る。これを繰り返すだけで、1分の体内感覚ができてきます。

Note

学習の初期は、1分を超えても構いません。まずは Position・Reason 1・Reason 2 を作り切る練習をして、慣れてきたら本番の時間へ縮めてください。ただし本番前には、必ず1分の条件で練習しておいてください。

準備したら、必ず声に出す

理由を考えて満足して終わり、というのがいちばん伸びないやり方です。骨格を作ったら、必ずその骨格で実際に話してください。考えた内容を英語に変える速度は、口を動かさないと上がりません。

準備時間を鍛えるには、次の5ステップを1セットにしてください。ポイントは、最後に「準備だけ」をもう一度やることです。

  1. 1

    トピックを1つ見る

    社会性のあるテーマを1つ。選ぶ練習もしたいなら、5つ並べて1分で選ぶ形にします。

  2. 2

    1分測って骨格を作る

    メモは取らず、Position・Reason 1・Reason 2・展開先の言葉だけを頭に置きます。

  3. 3

    2分測って話す

    途中で止めず、詰まっても言い換えて走り切ります。録音しておきます。

  4. 4

    浅かった理由を特定する

    録音を聞き、どちらの理由が1文で終わっていたかを確認します。そこが次の改善点です。

  5. 5

    同じトピックで、1分間準備だけをやり直す

    スピーチまでやらなくて構いません。骨格を組み直すところだけを繰り返すと、1分の精度が上がります。

まとめ

次にトピックカードを渡されたら、この順番で考えてください。3つの基準でトピックを早く決める。立場を言い切る。違う角度から理由を2つ取る。それぞれの展開先を言葉1つで決める。英文は作らない。

1分間でやることが決まっていれば、残りの時間は中身を考えることに使えます。焦りの正体は、やることが決まっていないことです。

Note

本記事は学習方法をまとめたものであり、合格を保証するものではありません。二次試験の形式・時間に関する最新情報は日本英語検定協会の公式サイトをご確認ください。「英検」は公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。

参考資料

よくある質問

英検1級二次試験の準備時間は何分ですか?
スピーチの考慮時間は1分間です。5つのトピックが書かれたカードを受け取り、その中から1つを選んで話す内容を考えます。なお、この時間にメモを取ることはできません。そのあと2分間のスピーチ、4分間のQ&Aが続きます。
1分間で英文を作りきれません。
作る必要がありません。1分間で決めるのは、立場・理由2つ・それぞれの展開先の言葉だけです。英文は話しながら組み立てます。文で覚えようとすると、1語忘れた時点で止まってしまうため、かえって不利になります。
トピックはどう選べばいいですか?
知識の多さではなく、賛成・反対がすぐ決まるか、理由が2つ浮かぶか、その理由を具体化できそうか、の3点で判断してください。1つ見つかった時点で決めて構いません。5つを比較していると、中身を考える時間がなくなります。
理由が2つ思いつきません。
視点を切り替えてみてください。個人・経済・社会・政府・環境や将来という順に当てはめると、たいてい2つは出てきます。注意したいのは、2つが同じ角度にならないことです。「お金が節約できる」と「コストが下がる」は実質1つの理由として読まれます。

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